IP、HD-SDI、EX-SDI、HD-TVI、HD-CVI、AHDなど、たくさんの規格が乱立する中で、今後こうした市場は、どのように変化していくのか?

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従来の監視カメラメーカーは、ソニーやパナソニックのように、画像センサーから、カメラ本体まで全てを開発するという事で、各メーカー毎の高い独自性能が生まれ、それにより市場が形成されてきました。しかし、発展途上国を中心に、世界の監視カメラ市場が拡大していく中で、監視カメラメーカーも分業されるようになってきました。具体的には、開発力のある画像センサーメーカーや、チップセットメーカーが、世界市場をターゲットに規格化や系列化をし、それを世界中の監視カメラメーカーに対して部品供給を行うという形態です。パソコンやサーバー等の市場でも、どのパソコンメーカーのものもインテル製CPUが入っていたり、Windows OSが入っている、という事が行われてきたように、今後の世界における監視カメラ市場においては、そうしたチップセットメーカーが規格化や系列化をし、それを世界中の監視カメラメーカーが自社のブランド名をつけて販売をしていくという形態に大きく変わっていくと考えられます。
ここ数年、監視カメラシステムの規格が増えているのも、そうした世界市場の動きと無縁ではありません。
例えば、HD-TVIは、アメリカTechpoint社製のチップセット。HD-CVIは、中国Dahua(ダーファ)社製。AHDは、韓国Nextchip社製と、各チップセットメーカーが技術革新と系列化にしのぎを削り、より多くの監視カメラメーカーを囲い込むことによって出荷数を増やし、さらなる技術革新と価格低減競争になっていくという構図になっているのです。
こうしたチップセットメーカーは、発展途上国を始めとする従来型アナログカメラ(41万画素~700TVL程度)が価格優位性を理由に幅を利かせている今後の成長市場に対して、IPカメラやHD-SDIカメラよりも圧倒的に価格が安く、従来型アナログカメラでは再現できなかったフルハイビジョン相当の画像と、従来型アナログカメラとの柔軟な互換性を前面に出した、HD-TVI、HD-CVI、AHDといった規格を作りだしたのです。
そうした流れに対して、日本市場も例外ではなく、現在も日本国内のエンドユーザー様からもよく聞かれる、
『ハイビジョン画質のカメラに更新をしたいが、「IP、HD-SDIといった従来型高画質カメラは、100m毎にHubやリピータが必要になってしまう」、「既存システムで使っている5C-2V同軸ケーブルが、IPやHD-SDIでは使えない為、ケーブルを引き換える事は、コストが大きくかかる」、「既存アナログカメラシステムが、カメラ電源重畳型のワンケーブルアナログカメラであったため、カメラ付近に電源工事が必要になる」といった理由で、今回のシステム導入や更新も、従来型アナログカメラを選択せざるを得なかった』
といった問題に対し、次世代型高画質カメラ規格(HD-TVI,HD-CVI)の特長である、
『従来型アナログカメラと「同等の伝送距離」「同じ同軸ケーブル」「リピータ等無しで長距離電源重畳できる」上に、「フルハイビジョン相当画質が得られる」』といった新技術は、今後、日本市場を変えるきっかけになる可能性があると考えられます。